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AAA+ ATPase p97/VCP mutants and inhibitor binding disrupt inter-domain coupling and subsequent allosteric activation (JBC, 2021).

AAA+ ATPase p97/VCP mutants and inhibitor binding disrupt inter-domain coupling and subsequent allosteric activation.
(Journal of Biological Chemistry, Sept., 2021)
Brian Caffrey, Xing Zhu, Alison Berezuk, Katharine Tuttle, Sagar Chittori, and Sriram Subramaniam.
Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of British Columbia, Vancouver, British Columbia, Canada.
(背景)AAA+ ATPase p97/VCPは、N末端ドメイン(NTD)とタンデム型に2つのATPaseドメインD1およびD2を持つ6つのプロトマーから構成され、ホモヘキサマーを形成する。さらに、ATP加水分解によって得られたエネルギーを用いて立体構造を変化させ、ユビキチン化基質をプロテアソーム分解へ誘導する。また、p97/VCPは膜融合、小胞体関連分解、ミトコンドリア関連分解(MAD)、クロマチン関連分解やNF-kB活性化など、細胞恒常性の調節に不可欠なタンパク質である。
p97機能障害は、多系統蛋白質症1型(MSP-1)や家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患と密接に関係している。しかし、これらの疾患においてp97/VCPがどのような構造変化を介して機能異常を引き起こすのか、その分子基盤は依然として十分に理解されていない。本論文では、p97/VCPの4つの疾患関連変異R155H、R191Q、A232E、D592Nと阻害剤CB-5083の薬剤耐性変異E470Dがp97のドメイン間相互作用に与える影響を、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析で調べられた。
(結果)N末端ドメインおよびD1ドメインに位置する点変異R155H、R191Q、A232Eは主にADP結合状態で野生型p97/VCP (WT)とは異なる構造変化を引き起こした。その際、N末端ドメインの柔軟性が上昇し、p97/VCP (WT)ATP結合状態と類似した構造変化が観察された。これはN-D1ドメイン間の情報伝達が破綻したことを示唆している。
一方、D2ドメインに位置する点変異E470DおよびD592Nは、主にATPγS結合状態において観察されるN末端ドメインの構造変化は確認できなかったことから、ATP結合に伴う構造変化の伝達が阻害されている可能性が示唆されている。
さらに、p97/VCPの阻害剤であるCB-5083は、D2ドメインのATP結合部位に競合的に結合し、D1ドメインのヌクレオチド結合状態に関わらずN末端ドメインの構造変化を阻害するという結果が得られた。
以上の結果から、本論文では、野生型p97/VCP (WT)は構造制御において、各ドメイン間のアロステリック活性が協調的に機能しているが、疾患関連変異とCB-5083はこれらのドメイン間相互作用を破綻させることで異常な構造状態を誘導することが明らかになった。